2011年度 開発QA委員会の活動

日本PDA製薬学会 開発QA委員会 

小山靖人

1. 開発QA委員会について

 開発QA委員会は、従来日本PDA製薬学会のQAQC委員会の分科会として活動してきたが、開発過程に特化した品質事項における活動の場をより広げるため、2008年の3月に委員会として独立し、再スタートを切った。2011年度は委員会として4年目になり、約30名の委員が課題ごとに活発な研究を継続している。

 

2. 開発QA委員会の活動の目的

 近年、製品のライフサイクルマネジメントの重要性がますますクローズアップされ、各国の製薬企業で品質マネジメントシステムの整備が進みつつあり、開発過程においてもいかにしてICH Q10の考え方に基づいた品質システムを構築、維持し、改善してゆくのかという点は重要な課題である。わが国ではICH Q10が施行され2年が経過するが、こうしたグローバルな品質トレンドを認識した開発過程を巡る議論は未だ十分とはいえない状況にある。開発QA委員会では、ICH Q10やFDAの(新)PVガイダンス、治験薬GMPを対象に、製品ライフサイクルの開発過程におけるICH Q10のマネジメント要素の理解と運用について、主にCMC研究と治験薬製造の連携の視点で議論を重ねている。

 わが国では開発過程の品質保証、すなわちICH Q10や治験薬GMPの実践に関して理解を深める機会は必ずしも多いとはいえないことから、当開発QA委員会の研究課題と報告がこれらの分野の関係者の要望に応えることを期待している。

 当委員会はこれまで、日本PDA製薬学会の年会における発表に加え、2010年度は7月に委員会としての独立した発表会を開催し、研究発表の場としているほか、ファームテクジャパン誌(じほう社)上でも報告を行っており、このように研究成果の積極的な公開は当委員会の社会的な使命であると考えている。

 

3. 開発QA委員会の活動課題

2011年度は次の2つの課題に関する研究成果を11月8、9日の日本PDA製薬学会年会で報告した。

1)CMC研究に応じたCAPAとは

 ICH Q10におけるCAPA(是正処置および予防処置)システムは医薬品のライフサイクル全般にわたる品質システム要素のひとつと位置付けられている。今回はこのCAPAに着目し、商業生産も視野に入れてCAPAとその重要な要件である逸脱の管理を再考し、これらの運用について新たな考え方を論じた。その上で、CMC研究の重要な業務である治験薬の製造を主な対象として、開発過程に特有な視点から考慮すべきCAPAと逸脱管理について事例を交えて検討した。さらに、CAPAに関連して経営陣の責任についても考察した。

2)開発段階におけるCMCの変更マネジメント

 開発段階におけるCMC研究は、随時、変更を行いながら、市販製品の処方や製造方法、製品規格等が確立されていく過程であると考えることができる。一方、治験薬GMPにおいては、治験薬と市販製品との品質の「一貫性・同等性」を保証することが明記され、変更管理が必要と理解できる。今回、ICH Q10に述べられている「変更マネジメント」およびGMPとしての変更管理について、CMC研究における変更に際し「一貫性・同等性」の確保の視点から、製品実現のために考慮しておくべきポイントについて考察した。

 また、変更マネジメントと知識管理やCAPAとの関連、およびリスクマネジメントの有用性についても考察した。

 以上の2つの課題以外に、下記の課題についても研究を行っている。

  • 治験薬原材料のサプライヤーと品質管理
  • 治験薬の安定性の考え方
  • マイクロドーズ、P0レベルの品質管理
  • 治験薬GMPとGCPのインターフェース

来年度以降も開発過程の品質保証に関する研究を続けてゆく所存である。

 

4. 開発QA委員会の概要

委員長:小山靖人(塩野義製薬、日本PDA理事)
副委員長:佐々木淳子(大日本住友製薬、PDA本部理事、日本PDA理事)、秋元雅裕(東レ、日本PDA理事)、杉智和(旭化成ファーマ)
事務局:西潤平(アステラス製薬)
委員数:30
委員会開催:原則として隔月、東京と大阪で交互に開催。それに加えて、研究課題ごとの分科会を1~2箇月ごとに開催している。

以   上