無菌製品GMP委員会
無菌製品GMP委員会の活動
無菌製品GMP 委員会委員長 アステラス製薬(株) 片山 博仁
副委員長 ザルトリウス・ステディム・ジャパン(株) 原 芳明
1. 概要と沿革
本委員会は2005年3月より委員会活動を継続している。現在まで新しいテーマに臨むに あたって、3回の世代交代を行った。即ち:
| 世代 | 研究テーマ |
|---|---|
| 第一世代 2005年~2006年 |
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| 第二世代 2007年~2008年2月7日 |
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| 第三世代 2008年3月~4月24日 |
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| 第四世代 2009年6月20日~ |
2. 委員会社
第4世代の委員会社は次の会社の製造、開発、QA、技術、支援機器メーカー、エンジニアリング会社などのキーパーソンが活動している。(株式会社などの表記は省略)
参天製薬、テルモ、千代田化工建設、山武、協和発酵工業、田辺三菱製薬工場、持田製薬工場、日揮、東レ、アステラス製薬、塩野義製薬、小野製薬工業、日本ポール、ナガセ医薬品、大日本住友製薬、ファーマパック、大気社、味の素メディカ、スリーエムヘルスケア、ロート製薬、中外製薬、日本製薬、ザルトリウス・ステディム・ジャパン 以上24社(30名)
3. 第三世代での研究テーマ
| 分科会 | 研究テーマ |
|---|---|
| 1Gr. 最終滅菌法分科会 | 最終滅菌法による無菌製剤における具体的な管理方法とその考え方 |
| 2Gr. 無菌操作法指針分科会 | 三極 無菌操作法指針に対する各社の実情とその対応 |
| 4Gr.最新技術検討分科会 | 無菌操作法におけるリアルタイムリリースはできるのか? |
| 5Gr.品質リスクマネジメント分科会 | FTA(故障の木解析)を用いたリスク分析事例 ~注射剤への異物混入リスク解析~ |
4. 研究のポイント
当委員会のキーワードは、「概論、一般論でなく、コンセプトの構築から個別の各論、具体事例に落とし込むまでの研究」ということで、新しい技術にあったコンセプト再構築を試みながら、現行法規・指針などの要求項目を理想とのギャップ・現実とのギャップという視点で見直し、現場(製造現場、開発現場)に落とし込んで具体論でディスカッションすることである。締めの研究成果報告会で具体事例、課題などをまとめ参加された会員各位とディスカッションしている。次項で具体事例の究極である、皆様が抱えている疑問点、問題点に対して委員各社の実態をヒアリングし、具体的施策に結びつけ各社で解決している事例をいくつかご紹介する。
5. 具体的なQ&A例
以下のディスカッションの様に、自分の現場である重大な課題がある場合、経験豊かな委員会社の実態、経験などをヒアリングすることで、対応方針が決まるという事実がある。自社のみで悩むのでなく、課題を共有化し委員でディスカッションし方向性を見いだす方が、社内説得にも極めて効果的である。
課題例: クリーンルームの燻蒸を止めようと計画している。代替として消毒剤噴霧+ふき取りを徹底する。しかし機械メンテ、新規機械導入後など芽胞菌が持ち込まれた場合、消毒剤では効果が無い。燻蒸を廃止した場合、このような芽胞菌対策はどのようにされていますか?
回答一覧(生データーを一部修正)
| 回答委員 | コメント、アドバイスなど |
|---|---|
| Aさん | 弊社では私が担当する治験薬設備では、今のところくんじょうを止める予定はないので、欧州のある会社で聞いた話を・・・・ 欧州では、くんじょうが実施されることはほとんどない。日々の清浄管理の中で、規定された消毒剤を組み合わせて使用している状況で、環境菌のライブラリーを持っている。そこには芽胞菌は検出されていないことを示す。その上で、芽胞が検出された場合は、ステリハイド(グルタールアルデヒド)を使用するとのこと。芽胞殺滅には十分でないが、消毒剤としては、これぐらいしかない・・・ ただし、かなり危険性があるので、専門の業者に任せているということでした。 (ちなみに、ホルマリンよりは浸透力が弱いので、直接の接触で芽胞を壊すというよりは、通常使用している消毒剤より、強いものを使用してふき取っているという印象はぬぐえません。) |
| Bさん | 弊社でも,今のところ燻蒸をやめる計画はありませんが,万が一(大量の芽胞菌に汚染された等)に備えて,過酢酸(ミンケア)を常備しています.事前の「ラボにおける効果確認試験」と「グレードの低い部屋での実証データ」からは,芽胞に対して有効でした.今のところ,そのような状態になっていないので,実行したことはありません.また,弊社では,月に一度,アルコール消毒液を含ませたガーゼで拭き取り掃除をしています.それが効果を発揮していて,ミンケアの出動機会がないものと考えています. |
| Cさん | 弊社の一部の工場ではすでにホルマリン薫蒸を中止し,ミンケア(過酢酸)を導入しております.当該作業室での検証を実施し,その殺菌性能を確認した上で変更いたしました.ただし,お問い合わせのような場合に都度,ミンケアでの消毒を実施するとは定めておらず,持ち込む機材の大きさや清浄度を考慮してその対応を決めております.そのため,ふき取り等で対応できない場合はミンケア薫蒸で対応することとしております. |
| Dさん | 他の方と同様、小職が管轄している全ての無菌エリアではホルマリン燻蒸からミンケア(過酢酸)噴霧に切り替えています。問い合わせの対応についても他の方のコメントと同じになりますが、芽胞菌が検出された等の個々のケースについては手順を定めておりません。しかし、噴霧翌日に入室が可能というミンケアの特性から、結果としてはまず再噴霧を実施する判断になると思います。(無論、原因や検出状況によって一律の判断にはなりませんが、ホルマリン燻蒸を採用していた頃に比べると、安全サイド(噴霧実施)で判断を行ないますので、お問い合わせのような状況になったことはありません。) |
| Eさん | 弊社も,これまでの主流薬剤であったホルムアルデヒドから過酢酸に変更した工場は一部でありますが,燻蒸自体を中止する予定は今のところありません.環境復元時などでは燻蒸を実施することを標準として設定しております.それ以外に弊社では環境から芽胞形成菌を多数検出した場合,日常的に使用している消毒剤に替え,殺芽胞剤を用いて清掃・消毒を行う,という手順を設定していますが,実際にそのような状況が発生し,適用したという例はありません. |
| Fさん | 弊社では、現状のところ、新たな設備等の導入後にはホルマリン燻蒸を実施しており、ホルマリン燻蒸をやめる予定はございません。実際には、ホルマリン燻蒸は、HEPAフィルターのリーク測定後の年2回の実施ですので、この時期に合わせて新たな設備の導入や改造を行っております。芽胞形成菌については、消毒用エタノール等を用いて物理的に拭き取るとう方法で除去することは可能ですが、これらの措置についても設備の表面等に限定されます。現状では、ホルマリンを止める判断はなかなか難しい状況にあります。日常的な、培地や試験用サンプルの持込等の、高圧蒸気滅菌ができないものの持込品の除染を目的として、過酸化水素の除染装置の導入のOQを実施中です。 |
| Gさん | BFS システムの製造のため、製造室のグレードがCグレードと皆様の状況とは違いますが、ご参考になればと思います。弊社の場合、金型や成形に必要な大きな装置を定期的に交換を行っております。比較的製造室のブレークが多く発生していると思います。弊社の場合もホルマリン薫蒸をミンケア(過酢酸)に変更を行っています.ブレーク後はホルマリン燻蒸またはミンケアの噴霧を行う手順となっています。ブレークの場合に特に注意しているのは、洗浄できるものは、汚れをキッチリ落としてから消毒を作業を行うことにしています。ホルマリン薫蒸やミンケア噴霧の場合、対象物に汚れがある場合は効果が半減してしまうようですので注意した方が良いと思います。他の方も書かれているようにアルコールなどの消毒剤で拭き取り作業だけでも芽胞菌の減少につながると思います。過去におつき合いのあった米国の会社では、芽胞菌が検出した場合は次亜塩素酸Naで消毒することになっていましたが、実際は次亜塩素酸Naを使用したこと無いとのことです。 |
| Hさん | 直接質問の答えではないですが情報として記載します。あるセミナーに参加したところ医薬食品衛生研究所の先生が次のことを発表されてました。 1.過酢酸を用いた滅菌効果 22℃、12mmHg以下で栄養細胞を全死滅させ、殆どの芽胞菌を死滅させる。 2.至適芽胞死滅効果 ・RH:40-80%で活性を示す。80%がベスト20%以下では死滅効果は無い。したがってRHコントロールは大事 3.過酢酸の適用例 ・ミンケア(過酢酸/過酸化水素/酢酸混液)を用いたクリーンルームの滅菌。しかし最大8mしか飛ばないので考慮が必要。 4.過酸化水素、過酢酸滅菌の改善の余地 :材質内への浸透力を増やすための工夫の必要性がある。 |
| Iさん | 弊社では、新規設備の導入後、保全修理対応後にホルマリン燻蒸を実施しております。現在、代替方法の調査を実施しておりますが、当面ホルマリン燻蒸をやめる予定はありません。芽胞菌が検出された等の個々のケースについては手順を定めておりません。維持として、消毒用エタノール等を用いて拭き取りで実施しているのが現状で、これまで問題に発展した実例はありません。 関連会社で過酸化水素の除染装置を導入したとの情報を得て、状況を確認している次第です。 |
| Jさん | 現在、クリンゾーンのブレークを伴うような工事や新たにエリアをゾーンアップするような場合にはホルマリン燻蒸を必としております。汚染のリスクが低いと判断されるような工事や機器の搬入の際には代替法による殺菌を行えるように、現在移行途中です。 芽胞については特に対応を定めているわけではありませんが、大量に検出した例はありません。特に微生物環境調査で検出されるのは人由来の菌がほとんどです。 (少し疑問なのは、室内消毒にろ過していないアルコールが使えるのかどうか。クリンルーム内で使用するアルコールはろ過済み品が適当なはず。そのろ過は対芽胞の意味合いがあったと思うのですが。。。) |
| Kさん | あまり参考になりませんが、弊社の対応を紹介します。保全・点検等から定期ブレーク(年3回)後にホルマリン燻蒸を実施しております。現在、代替方法の調査を実施しておりますが、当面ホルマリン燻蒸をやめる予定はありません。万が一、芽胞菌が検出された場合には部分的に再度ホルマリン燻蒸を実施するSOPになっております。従いまして、芽胞菌対策としてホルマリン以外他の方法では実施しておりません。 |
| Lさん | 燻蒸を廃止する予定はありません。ただ、ホルマリン燻蒸の代替法の模索を行っております。なお、1年間における菌の検出状況を確認したところ、ホルマリンの効果は過大では?という結論も得ています。 現在、皆様としては、室内除染の保証レベルをどう想定しておられますか?(業界的な主流は、10の4乗か、6乗か?)???—質問 無菌操作法と最終滅菌法で考え方が異なるかもしれませんが、無菌操作法に於いても10の4乗で十分ではないかという一般意見もあります(感染研:佐々木氏)。 しかし、ブレーク等による芽胞菌汚染で、10の6乗を保証したいという理由から、やはり一般的にはホルマリン燻蒸は止められないかと考えます。 |
| Mさん | 空調管理をしていて室圧の逆転がないような機械のメンテであれば,持ち込む機材のチェックや消毒剤によるふき取りを実施し,その後,消毒剤の噴霧等で施設を立ち上げますが,新規機械の導入などのように室圧が逆転するような大幅なブレークがある場合は燻蒸は避けられないと考えています. |
| Nさん | 弊社では、ホルムアルデヒド薫煙から過酸化水素水消毒に変更する方針が既に確認されており、試しにある工場で年内導入を目標にvalidationを実施中です。作業内容としては指標芽胞菌にて殺菌能力を確認し、使用後の環境菌をモニタリングして検証することとしております。効果が確認された後は治験薬設備も含めて他施設へも順次導入する予定で,燻蒸自体を中止する方針です。弊社でも環境から芽胞形成菌を多数検出した場合,殺芽胞剤等を用いて徹底的に清掃・消毒を行って使用再開するという手順(日常的には3種類の消毒剤を定期的にローテーション+ろ過EtOH消毒)を設定していますが,実際に芽胞菌が大量に発生したという事例は近年はないようです。 |